よく悪夢を見る人がいます。
人間の精神活動は脳がつかさどっており、脳も肉体臓器の一つなので、脳の不調が睡眠の質、ひいては夢の質を低下させることはよくあり、そうした理由による悪夢は栄養改善、特にビタミンB群が十分にあると、見なくなります。
ただ、普段から生活にストレスの多い人、不安や緊張をいつも感じている人は当然、夢にもそれが投影され、悪夢を繰り返し見るでしょう。
また夢ではでないですが、瞑想やリラクゼーションなどでイメージ世界に入ると毎回のように怖かったり不快なイメージが出てくるので「イメージトレーニングとかしたいのに、できない」という方もおられます。
そういう人々への対策はあるかというと、あります。
催眠療法は「セラピストのガイドのもとで実施するイメージワーク」なので、「毎度出てくる不快なイメージ・ストーリー」を対象として、それを「不快でない、むしろ楽しい」イメージに書き換えてしまうのです。
(その他にも継続した心理療法による分析で洞察を得る法、自分が夢を見ていることを夢見中に気付くように自己訓練する明晰夢法などもありますが、催眠療法が本人にとって最も容易な手段といえます。)
例えば、(夢の中では)登山が好きなのに、あと一歩というところでいつも崖が崩れてきて生き埋めになるとか、崖から転落するという場合。
催眠下で再びその山の場面に戻ります。
最初のシーンから進み、崖が崩れてきたら、チャンス。
そこから先のシナリオを書き換えます。
発想を自由にすることがここでのポイントで、例えば「自分に翼が生えて、鳥のように自由に飛び上がり、崖崩れから離れる」などが書き換えの一例です。
むろん「ちょうど目の前に頑丈な洞窟があってそこに逃げ込めた」などの方がぴったりくれば、そちらを選んでも良いです。
あるいは、道を歩いているとオオカミが出て来てかみつかれるという例。
オオカミが出てきたら「ここは自分の心の中のイメージ世界だから、自分の思うままに出来事をコントロールできる」と、まず思い出します。
次いで、例えば「オオカミにクリーム色の光線を当てると、オオカミの表情が和らぎ、みるみるうちに小さくて愛らしいシロウサギに変わった。おいでおいでをすると寄ってきたので抱き上げた。腕の中のウサギは柔らかくて、気持ちよさそうにウトウトしている」などのイメージに書き換えます。
その人がその時に、とっさに最も好ましいと感じる内容に、イメージを変えてしまえば良いのです。
コツがわかると、思うがままにストーリー展開が変えられる自由さや、普段は思いもつかない自分自身の発想の面白さが、とても楽しく感じられるようになるでしょう。
イメージ世界が自分に与える影響というのは驚くほど大きいものです。
外側の現実生活上は、催眠療法によるイメージワークの前と後で何も変わらないのに、本人の気持ちはずっと前向きで安定したものになり、自分や他者、環境、人生に対して、自然にポジティブになります。
そして自分にも他者にも寛容になります。
イメージワークは、個人の悩みや集団社会の進むべき方向性についての啓示を求めて行われることもありました。
例えばユングの分析心理学においては、「アクティブ・イマジネーション」として、セラピストが患者さんと共にイメージ世界についてワークします。
またアメリカンインディアンでは、その集団のシャーマンが、部落の進むべき方向性や、個人の病気の原因を探りに自らトランス状態に入ってイメージ世界に入り込む「ビジョン・クエスト」を行うといいます。
自分でできるイメージワークには、昔から神秘家たちが実践してきた「パスワーク」などもあります。
松村潔著『あなたの人生を変える タロットパスワーク実践マニュアル』は、おすすめの本の一つです。
この本のユニークなところは、「バイノーラルビート」という、変性意識に導きやすい周波数を出すCDつきであること、そして目的別(例 「社会的チャンスをものにしたい」「不動産取得したい」「新規の事業を考えたい」)に対応したタロットカードも明記していることです。
それにしても今の世の中、これだけ筋トレその他、肉体のトレーニングのイロハは健康バラエティ番組にも多く出るほど一般的になったのに、メンタルなトレーニングやコントロール法が、学校教育の中にも公共の健康指導の中にも、もちろん大半の親の中でもほとんど知識がなく、きちんと教わる機会がないまま我々が何十年も人生が過ぎてしまう現状は、驚くべきことだと思います。
イメージワーク、つまり自己の内面への旅はお金もかからず、それでいて大きなリフレッシュ効果があります。
それによって人生観も変わっていくことも珍しくありません。
皆さんもぜひ、ご自分にあった方法を見つけて「心のフィットネス」を行ない、健康で充実した人生を手に入れてください。